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画業60年 松尾敏男回顧展

東京は久々のお日様でしたが束の間でしたね朝から大量に干した洗濯物が微妙に乾ききってないデス
雪のチラつく昨日は、体調も大分良くなったので久々の外出。
チケットがあると誘われていた展覧会を観に、日本橋へ行ってきました。

まず高島屋で「草乃しずか 日本刺繍展」を拝見。会場は沢山の女性で賑わっていました。
観ているだけでうっとりするような、上品な光沢をたたえた、紋様や植物の刺繍の綺麗なこと★
衝立などのインテリア、着物といったファッション、大作から身近な小物まで様々な作品がありまして、その丁寧で計り知れない根気のいる手仕事に圧倒されました。
と同時に「職人美だ〜」と感じました。

次に訪れたのが三越の「画業60年 松尾敏男回顧展」。
深く観察してそれを選び抜いた線で表す。この刃物の上を歩くような緊張感は、やはり絵画の醍醐味のひとつですねぇ。久々に絵を観に来たので余計に心振るわされました。

数点観たところで背後にご本人の姿が!館内の関係者へ丁寧にご挨拶してまわっていらっしゃいました。この後ギャラリートークが始まるそうです。
想像以上に小柄な方でしたが、シャンとしながら穏やかな雰囲気。やっぱり凄い人は何か違うなぁ〜

時系列に作品が並べてあるようで、私ははじめの方の牛の絵や、展覧会の表紙になっている“サルナート想”なんかで、まず心とらわれ、その世界に妄想を広げて楽しませていただきました
半ばの山水画といっていいのかしら?風景作品なんかで、また中へ入って浸らせていただきました何とも言えない緑の水に浮かぶ船の絵も素晴らしかったなぁ。
やっぱり大きな作品は気持ちいいですねぇ〜絵の一部を切り取ってもまたそれが一つの作品になるような密度の高さ。色もなんともいえない美しさで、あぁ日本画。

ギャラリートークは、ユーモアを交えた茶目っ気のある分かりやすいお話でしたが、無駄のない歯切れのよいリズムで、コンパクトながらも沢山のメッセージがこめられた運び。

松尾さんは「絵に大切なものの一番は品格だ」と考えていらっしゃるそうです。上品というようなことではなくて、熱い想いを磨き上げた技術で表現する、バランスのとれた状態だというように言っておられたと思います。
両方必要だが、技術はある程度訓練で向上する。しかし熱きものは…といって、いくつか心に残るエピソードを挙げていました。

中でも、昔「弟子にしてくれ」と突然やってきた男性のお話が印象的でした。
弟子入りはお断りしたものの、制作場やら出展の道筋立てのお手伝いやら色々と面倒をしばらくみておられたそうです。「うっとうしいなぁ」と思いながらもこれだけで松尾さんのお人柄の良さが十分解りますよね。
ある時、その男性の「テントで寝泊まりして山を巡り、目覚めてすぐ目の前の草花をスケッチすることが楽しくて仕方ない」という言葉に、松尾さんは気付かされたそうです。
「自分は作品を描くのに必要なスケッチは日々しているが、描くことを欲して日常をスケッチをする彼は、自分より本物の画家である」と。それから彼を助けることが一つも鬱陶しくなくなったそうです。(残念ながら彼は大成することなく病気でなくなったそうです)

いやぁ、そこで気付く松尾さん。果てしなく高いとこにいらっしゃる美しい心根で生きることから、品格のある作品が生み出されるのですねぇ。

60年間の作品は、時代ごとに変わったと評されることもあるが、ご本人的には何ら変わっていないと仰っていました。今は今の自分にしか描けない絵であり、ありのままであるからこそ、今の自分には今描いているような絵しか描けないと。
肖像画とか後半の海外の風景画の大作は、まだ今の私には知り得ない味わいがあるのでしょうねぇ。。年を重ねたから気付くわけではないのでしょうな私もより一層日々の暮らしを高い意識で過ごして自分を磨きたいと思いマス★…できるのか?

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